本の一覧

- 本体価格
- 1,400円(+税)
- ISBN
- 978-4-86825-002-9
- 判型
- 四六判
- 装丁
- ソフトカバー/カバー・帯付き
- ページ数
- 224
- 発行
- 成隆出版
- 発刊
- 2025/07/24
父の看取りを通して、
“人生をどう終えるか”ではなく、“どう生きるか”を考えるようになった──。
日記のように綴った73日間の記録と、
死に向き合うことで見えてきた「生きがい」と「時間の価値」。
人生の後半を悔いなく生きたいすべての人へ贈る、
静かで、あたたかい一冊。
<生きがいを見つけるワークシートをダウンロードできるQRコード付き>
死から逆算する、生きがいある人生デザイン(まえがき全文掲載)
「人の死亡率は、100%である」この事実を否定できる人は、誰もいないはずです。
私たちは皆、例外なく〝その日”を迎えます。なのに、普段の生活の中でその現実を真正面から見つめる機会はほとんどありません。
未来の夢や目標に向かって日々やるべきことに追われ、「自分の人生には終わりがある」ということを忘れてしまいがちです。
けれど、誰かの「死」に出会ったとき、否応なく人生の有限性と向き合うことになります。同年代の友人の訃報を受け取ったときなど、圧倒的な存在感で「死」というものを意識するでしょう。
私は昨年、父を自宅で看とりました。
がんが進行し、余命1年と宣告された父は、自宅での療養を希望しました。
私は仕事のペースを落とし、父の介護をするために実家に泊まり込む決断をしたのです。最期までの73日間──父が亡くなるまでの時間は、私の人生観とキャリア観を根底から揺るがす日々でした。
日に日に衰えていく父の姿を前に、何を語り、何を与え、どんな一日を共に過ごすか。命の残り時間がカウントダウンされていく中で、私は一つ一つの選択を、かつてないほど真剣に考えるようになったのです。今日が父と共に過ごす最後の日かもしれない。そう思いながら介護をしました。それは同時に、「自分自身の人生」を問い直す時間でした。
──私の人生も、いつか終わるのだ。
──だったら、いまこの瞬間を、どう生きるべきだろう?
2020年に発売された、ビル·パーキンス著『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)では、老後の不安からお金を使えずにいると、最終的に資産を残したまま亡くなってしまう可能性が高いと指摘しています。
著者はこの事態を避けるためにも、「資産は計画的に使い切るべき」と説き、その最適な開始時期として、45歳から60歳の間に取り崩しを始めることを勧めています。
言われてみれば当然のことなのに、多くの人が貯め続けてしまうのは、「過去から未来へ」の時間軸で人生をとらえているからでしょう。
積み重ねた経験を生かし、できることを増やし、少しずつ前進していく。もちろん、それも大切です。けれど、「いつかやろう」「そのうちやりたい」と思っていることほど、永遠に先延ばしになりがちなのです。
私は父の看とりを通して、人生を「終わりからデザインする」という視点の重要性を再認識しました。「自分がいつ死ぬかは分からないけれど、限りがあることだけは確か」という前提に立ち、死という終点から〝今〞を照らし返すように、人生を再構築する必要性です。
ビジネスの世界では「バックキャスティング(Backcasting )」と呼ばれるこの発想は、未来を創る上で非常にパワフルです。たとえば、「5年後に世界一周をする」と決めたなら、今日から何を準備するかが変わる。「3年後には地元に帰って起業する」と決めれば、今の働き方にも迷いがなくなる。同じように、「あと20年で死ぬとしたら、何をしておきたいか?」という問いが立てば、人は自ずと、本当に大切なものだけにフォーカスするようになります。
本書は、父を看とった73日間の体験を通して見えてきた、「人生の後半をどう生きるか?」という問いに向き合う一冊です。
キャリア、家族、健康、そしてやり残している夢──。
人生には終わりがあります。だからこそ、今この瞬間をどう生きるかが、とても大切になるのです。もし今の延長線上に、ほんとうに望む未来が見えないと感じているなら、「終わり」から逆算して考えてみるチャンスかもしれません。
仕事も暮らしも人間関係も──「自分らしく、生きがいを感じながら生きたい」と願うあなたへ。
本書では、私自身のリアルな看とり経験を通して、あなたも看とりを疑似体験できると思います。
その体験が、あなた自身のライフプランやキャリアを見直すきっかけとなり、人生デザインを再構築するヒントになるでしょう。あなたの人生が、より豊かで実りあるものになることを心より願っています。
著者 秋田稲美
著者プロフィール
秋田稲美(あきた・いねみ)
ひふみコーチ株式会社 代表取締役社長/生きがい研究員。「生きがいマップ」「未来マップ」などの目標達成・自己実現ツールを開発。2017 年よりオンライン起業コミュニティ「起業ひふみ塾」を主宰し、国内外に多くの塾生を持つ。独自のコーチングメソッド「ひふみコーチ」は、子どもから大人まで広く支持されている。父親の看取りをきっかけに、生きがいを見つめ直す活動へと広がり、世界各地で講演やワークショップ「いきがいみとり」を開催。著書多数。