書籍のご案内

好評発売中!

日常言語で考える 論理的思考の手引き

ゼロからスタート イラスト付き

大崎 博
本体価格 1,713円(+税)
ISBN 978-4-915348-87-7
サイズ A5判  上製  本文 146ページ

日常生活の場から論理を取り上げ
日常言語を使用して分かりやすく論理を考える
予備知識なしで論理使用の基礎が学べる本
 
内容紹介
近年「論理的に考える」ことの大切が強調されるようになった。学校教育の場でも「論理的思考の育成」あるいは「論理的思考訓練の導入」が語られ、義務教育の場にも論理教育を組み入れようという動きが出てきている。
論理学、なかでも記号論理学は現代では数学との連関が極めて強いが、本来、哲学や科学とも深く連関している。本書はそうした問題圏から離れ、日常言語の使用と日常生活の場から論理を取り上げ直すことにした。これまでの論理学の範囲でいうと、伝統的な形式論理学が扱ってきた範疇に近いと考えられるかもしれないが、あくまでも日常言語での論理表現の側面を問題として取り上げた。
日常性における日常言語での思考を対象とし、そこで用いられる論理にはどういうものがあるか、それらの意味、規則について述べることが本書の主なねらいである。日常生活における日常言語での論理使用は常に曖昧性によって蔽われている。明晰判明で厳密に定義された日常言語での論理使用はごく稀である。数学を典型とする諸科学の概念使用に伴う論理は、それとは対蹠的に極めて明晰である。私たちが普段の生活で、仮に厳密な意味規定した言語の使用にこだわり、そのつど意味する対象を限定したりすれば、会話はぎごちないものになり、場の雰囲気は壊れ場合によっては他の人に嫌われることにもなりかねない。日常生活ではそこまでしなくとも、ある程度の曖昧さを含んだ言語使用で十分だからだ。日常言語を使用し、論理表現をする場合であっても、それほどの厳密さは要求されない。私たちは、特別の場合を除いてそれほど論理的曖昧性を問題にしないし、それで不自由はない。日常の会話では、言葉は瞬間ごとに流れて消えてしまうからだ。
しかし、ときにより曖昧性が問題になると、途端に話が紛糾することがある。人々の間にある意見の対立や論争は、アンリ・ベルクソンが指摘したように、言語の曖昧性から生ずることが多く、それを排除して論理を明晰にすればその多くは消失してしまう。したがって、日常言語で表される論理的表現を明晰にし、日常言語の論理的表現の特徴を理解することは、専門性を超えてとても大切である。
本書は、できるだけ平易に記述して数式や引用などは極力避けるようにした。また、話の内容に接近しやすくなるよう、各項目の冒頭に簡単なイラストを入れることにした。
 
目次
一 考えるとはどういうこと?
二 日常言語がもっている基本的な論理
三 意味を定めること
四 思考を形に表す
五 推理
六 いろいろな論証と論法
七 誤った議論のしかた

戻る